Stradivarius Viola(1713) story

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 トランスクリプター社製の「スケルトン」という名前がついたレコード・プレーヤーです。トラン
スクリプター社はイギリスで1960年からレコードプレーヤーを製作しているメーカーです。現在
でも現代彫刻の様に美しい製品を作り続けています。                     
 その中でも「スケルトン」は6面のケースが全てガラスで出来ている、とても珍しい製品です。ア
ルミのターンテーブルベースの上にはクロームメッキの5つの丸いおもりが乗り、スイッチを入れる
とくるくると輝きながら回ります。まるで遊園地のメリーゴーランドのような楽しい動きをします。
「VESTIGAL」 というこれまた、変わった構造のアームを備えてとても面白い動きをします。   
 「スケルトン」にはどういう訳か、電気製品には必ず付いている、ブランド名や電取法の表示など
も見えるところには一切ありません。 まるで、彫刻家が自らの作品にサインを書きしるすように、
MADE IN IRELANDと印刷されたシールがガラスの底板に貼り付けられているだけです。     
 生物の進化は偶然である。という見解が、生物の進化論の主流になっています。自然選択説といい
ます。変化した環境に生物が適応するように進化していったのではなく、突然変異によって様々な様
態が生まれた中から、その環境にたまたま適合した物だけが生き残った、というものです。    
 トランスクリプター「スケルトン」は特別奇抜なデザインです。何の脈絡も無く、突然あらわれた
形態の製品です。 極めて小さなメーカーですから十分な販路もなく、爆発的にヒットして大量に売
れる予感もなく、また繊細なガラスで出来ているのに、万が一壊れた場合のサービスネットワークも
ない。こんな商品はまたたく間に消滅してしまうと思われました。当時日本に輸入された数もわずか
40台ほどと聞きました。しかしその種族は50年も生き長らえました。LPレコードを演奏したオー
ディオブームが過ぎ去って、iPodの時代になっても新製品がつくられています。         
 まさに、偶然の狭間を生き抜いた生き物のように思えてなりません。             
                        幅 457mm × 奥行き 394mm × 高さ 178mm

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